裁判に勝っても「一円も回収できない」を防ぐために。
仮差押(かりさしおさえ)の重要性
「裁判で勝訴判決を得れば、相手から自動的にお金が支払われる」
多くの方がそう思われています。
しかし現実は、裁判の途中で相手が預金を隠したり、不動産を名義変更したりして、「判決が出た時には相手の財産が空っぽだった」という事態が起こり得ます。
このような事態を防ぎ、確実に回収するための強力な法的手段が「仮差押」です。
1. 仮差押とは?
仮差押とは、裁判の決着がつく前に、あらかじめ相手方(債務者)の財産を、勝手に処分できないように固定する手続きです。
通常、強制執行(差し押さえ)は判決が出てから行いますが、裁判には数ヶ月から一年以上の時間がかかります。その間に財産が散逸するのを防ぐ「先手」の手段と言えます。
2. 仮差押を行う3つの大きなメリット
・ 財産の隠匿・散逸を防ぐ
銀行預金や不動産、売掛金などを凍結することで、相手が「お金を使い果たす」「隠す」といった行為を物理的に封じます。
・ 強力な心理的プレッシャー(早期解決の促進)
相手にとっては、突然銀行口座が使えなくなったり、自宅に仮差押の登記がされたりすることは大きなダメージです。これにより、裁判が長引く前に「早く解決して差し押さえを解いてほしい」という和解の提案を引き出しやすくなります。
・回収の確実性が飛躍的に高まる
勝訴判決を得た後、凍結していた財産からそのままスムーズに支払いを受けることができます(本差押への移行)。
3. どのようなケースで検討すべきか?
貸金返還請求: 相手が「お金はない」と嘘をついて逃げ回っている。
不貞・損害賠償請求: 相手が不動産を持っており、売却して逃げる恐れがある。
売掛金回収: 取引先の経営状態が悪化しており、他の債権者に先を越される可能性がある。
離婚に伴う財産分与: 不貞をおこなった配偶者が自宅を勝手に売却しようとしている。
4. 仮差押の注意点:「担保金(保証金)」が必要です
仮差押は、まだ裁判の結論が出る前に相手の権利を制限する強力な手続きです。そのため、裁判所に対して「担保金」を一時的に預ける必要があります。
金額の目安: 請求する金額の10%〜30%程度(ケースによって異なります)。
返還について: 裁判が終わった後、あるいは和解が成立した後に、所定の手続きを経て全額返還されます(没収されるわけではありません)。
5. 仮差押は「スピード」と「秘匿性」が命
仮差押の手続きは、相手に気づかれないように極秘かつ迅速に進める必要があります。相手に知られてからでは、財産を隠されてしまうからです。
東京渋谷法律事務所では、訴訟の提起と並行して(あるいは提起前に)、迅速に仮差押の申し立てを行う体制を整えています。
「裁判に勝つこと」と「お金を回収すること」は別の問題です。当事務所では、勝訴した後の『実効性のある回収』までを見据えた戦略を立案します。
「相手が財産を隠しそう」「確実に回収したい」という不安をお持ちの方は、裁判を起こす一歩手前の段階で、お早めにご相談ください。
