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明渡し・立ち退き

 
土地建物の賃貸借契約の終了事由は、

①賃貸借契約の合意解約
②賃貸借契約の解除
③賃貸借契約の更新拒絶
④賃貸借契約の解約申入れ

という、4つの場合があります。

相手方の了解の下、契約を終了する合意解約のケースを除き、いずれのケースにおいても、賃主側から土地建物の明渡を請求する際には、まず当該土地建物にまつわる契約が、借地借家法ないし借地法、借家法の適用を受けるものであるかどうかを検討することが重要です。

これらの法律は、借主の権利保護を目的として制定された法律であり、明渡を要求するに際し、貸主側に一定の要件を加重して要求するなど、一般に貸主側に不利に働くものだからです。

また、借主側に賃料の不払や貸主の許可を得ていない増改築、第三者への無断転貸など、当初の賃貸借契約で定められた解除事由があるか否かを検討することも必要です。

借主側に明確な解除事由がある場合は、土地明渡、建物明渡に際して、基本的に明渡料が不要になり、そのうえ土地明渡、建物明渡を法的手段に基づいて、迅速に行える可能性が高いからです。

他方、借地借家法等の適用があり、かつ、借主側に特段の解除事由もない場合には、期間満了による更新拒絶又は解約申入れをする場合には、貸主側に、更新を拒絶する、または、解約を申入れるに足りる一定の「正当事由」が必要となります。

この点、正当事由の有無の判断に際しては、貸主から借主に対し、立退料の交付がなされたか否かについても、判断要素になります。
この場合には、十分に資料を集めた上で、正当事由要素を調査し、過去の判例に照らし合わせ、貸主側に正当事由があることを裁判所に認めてもらえるかについて、十分に吟味した上で、明渡の交渉及び裁判に臨む必要があります。

以下では、最も典型的で、且つ相談件数も多い、賃借人の賃料不払を理由に、建物賃貸借契約を解除するケースを例として、建物の明渡に至る具体的な手順についてご説明します。

(1)物件の現況調査


弁護士が一緒に現地に赴き、物件の現況を調査します。現在の居住状況、契約当事者と異なる第三者が建物を占有していないかなど、物件の現況を調査することにより、その後に予定している手続がスムーズに進むか否かの判断が可能になります。

(2)内容証明による催告・交渉


調査の結果にもよりますが、賃借人の事情を聞いた上で、話合いや交渉を行うことで、必ずしも裁判手続を行わずに解決できるケースもあります。内容証明郵便を、弁護士名で相手方に送付することによって、未払賃料の催告と、賃貸借関係の解消を求める意思表示を証拠に残した上で、話合い・交渉を開始します。

なお、このとき、賃借人の了承なく、合鍵等を用いて物件内に侵入したり、また、賃借人の所有物を勝手に処分したりするのは、後にトラブルの元になる可能性がありますので、行うべきではないでしょう。この時点で話合いがまとまらない場合には、法的手段を行使することになります。

(3)占有移転禁止の仮処分


賃借人が、多重債務などに陥っていつのまにか行方不明になり、物件内に得体の知れない占有者がいるというケースもあります。悪質な賃借人の場合には、物件の明渡請求を妨害するために、わざと占有を第三者に移してしまうことがあります。このような場合、賃借人を被告として、建物の明渡を認める判決を得ても、占有している第三者には判決の効力が及ばず、後に、強制執行の手続ができないことになってしまいます。

占有移転禁止の仮処分は、建物の占有者を賃借人に固定することにより、このような妨害手段を防ぐための保全手続です。

(4)賃料請求・建物明け渡し訴訟


賃借人が話合いや交渉に応じない、あるいは、そもそも賃借人が行方不明などの場合には、直ちに裁判所に訴訟を提起します。訴訟提起にあたっては、原則として、相手方の居所が判明していることが必要ですが、賃借人が失踪してしまっているようなケースでは、公示送達という特殊な手続を用いて、訴訟手続を進行することになります。

(5)強制執行


裁判所から賃貸人の主張を認める判決を受けても、賃借人や占有者が、任意に建物を明渡さない、または賃借人が行方不明の場合などで、任意の明渡が困難な場合には、強制執行手続によって明渡を行います。
このとき、賃料債権がある場合は、部屋にある動産(家具や貴重品等)を換価して、債権に充当することが出来ます。強制執行が完了すれば、建物明渡の手続はすべて終了です。 

土地建物の明渡については、法律に照らし、賃貸人の主張に理がある場合は、基本的に手続を進行するだけなので、比較的スムーズに明渡に至るケースが多いです。

他方で、賃借人の主張に理がある場合や、いずれとも判断しがたい場合には、条件を譲歩して早期に解決を図るのか、あるいは、あくまで法的手段による決着を目指すのか、微妙な判断を求められることになります。
判断を誤らないためだけでなく、その後の法的手続をスムーズに進めるためにも、初期の段階から、弁護士に相談されることをお勧め致します。

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